Smiley face
入学式であいさつする田中ひとみさん=2024年4月12日午後3時46分、鳥取市、富田祥広撮影
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 田中ひとみさんは幼い頃、学校にあまり通えなかった。

 産んでくれた母親は、自分が1歳になる前に亡くなった。そのことを知ったのは小学生の時だったと思う。別の女性を生みの親だと思っていた。

 小学生の6年間は、継母らの都合で鳥取市内の四つの学校を転々とした。

 そのたびに仲の良い友だちと離れてしまい、新しい友だちとは心を通わせることがなかなかできなかった。

 気がつくと、いじめを受けていた。中学校にあがっても、いじめは続いた。

 そして、学校に行けなくなった。

 「悪いのは自分だと思っていた。家族にも自分のつらさを言えませんでした」

 心を許すことができたのは、飼っていた猫と幼なじみの2人だけ。

 生きていく道を、どう探せばいいのだろう――。

 中学卒業を控え、担任の先生から美容学校に進むことを勧められた。美容師の仕事には何となく興味があった。

 国家資格を取り、17歳から9年間は東京で働いた。その後、鳥取に戻り、家庭を持ちながら仕事を続けた。

 でも、心にはずっと痛みを抱えていた。

 人の気持ちが理解できない。人のことが信用できない。きっといじめを受けたからだ。

 3人の子どもや2人の孫たちから「宿題を教えて」と言われても、できなかった。だって自分はあまり学校に通えなかったから。

 ある時、たまたま見た映画で…

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