■杉本昌隆八段の棋道愛楽
久しぶりのコラムです。夏の高校野球も沖縄尚学の優勝で幕を閉じました。地方大会からあれだけの数のチームが参加して、最後まで勝ち続けるのは、たった1チーム。ほかのチームは負けて夏を終えるのですね。1試合に魂を込める高校球児の姿勢は、いま思い出しても熱い夏の感動がよみがえってきます。
甲子園の栄光の陰では、数え切れないほどのチームや選手たちの戦い、そしてドラマがあったのだろうな……。ふと、そんなことを考えました。
棋士の場合、注目される対局はタイトル戦や優勝がかかった勝負、そしてライバル対決でしょうか。一方、他者にはそれほどでなくても自分だけが知る、静かに闘志を燃やす勝負があります。
私にとっては、今月4日に行…