In a First, the EPA Warns of ‘Forever Chemicals’ in Sludge Fertilizer
米国環境保護局(EPA)は1月14日、肥料として再利用される下水汚泥の中に「(分解されずに残留する)永遠の化学物質[forever chemicals]」が含まれており、人体に健康リスクをもたらす可能性がある、と初めて警告した。
EPAによると、広範囲にわたる調査の結果、食品供給全般が脅かされるものではないものの、汚染された肥料によるリスクは場合により、EPAの安全基準値を「数桁上回る」懸念があるという。
下水汚泥は、PFAS(有機フッ素化合物、ペルフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物)で汚染されている可能性が示されている。PFASは、焦げ付き防止加工された調理器具や、汚れにくいカーペットなど、日用品に広く使われている。この化学物質は、がんのリスク増加など様々な疾患と関連しており、環境中で分解されることはなく、下水汚泥が肥料として農地で使われた場合には土壌、地下水、農作物、家畜を汚染する可能性がある。
EPAが新たなリスク評価案
ニューヨーク・タイムズは2024年、PFASを数十年にわたって製造してきた3M社は早くも2000年に、全米の自治体の下水処理場の汚泥サンプルからこの化学物質が検出されることを把握していた、と報じた。3M社がEPAに報告したのは、2003年になってからだった。
EPAは数十年にわたり、下水処理後の汚泥を安価な肥料として活用することを推奨しており、含まれるPFASの量にも制限を設けてこなかった。しかし、EPAの新たなリスク評価案は、新たな方向性を示す可能性がある。最終決定されれば、業界で「バイオソリッド」と呼ばれる肥料に再利用されている、下水汚泥中のPFAS規制の第一歩となりうる。EPAは現在、肥料に使われる下水汚泥について、特定の重金属や病原体には規制値を設定しているものの、PFASは対象外となっている。
- 【注目記事を翻訳】連載「NYTから読み解く世界」
PFAS対策にバイデン政権はこれまでどう取り組み、汚染の懸念が広がるなかトランプ政権はどう臨むのでしょうか。汚泥肥料を使った農地に関係する食品を口にする人のリスクはどうなのでしょうか。NYTが迫ります。
バイデン政権は他分野のPF…