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会計検査院=2024年9月17日午前10時44分、東京都千代田区、座小田英史撮影

 全国の農業信用基金協会が国費を受けて実施している農業者向けの信用保証について、会計検査院が調べたところ、約6割の218億円は使う見込みがないことが分かった。検査院は農林水産省を通じて、国への返済を求めている。

 農業信用基金協会は都道府県ごとに全国47あり、農業者が農業設備導入などで融資を受けた際の債務を保証する信用保証を実施している。2022年度末で国費から約367億円の貸付金を受けている。

 検査院が13年度~22年度について、実際に農業者などが返済できずに協会が弁済した金額(代位弁済)を調べたところ、13年度は約40億円(全体の11%)だったが、19年度は半減の約20億円(同5.6%)、22年度は約17億円(同4.6%)に減っていた。

 協会単位で見たところ、10年前は5協会が、保有資産における保証債務の返済能力が2000%以上だったが、22年度は19協会まで増えていた。

 検査院が大規模な災害の発生を考慮して試算したところ、218億円は使われる見込みはなかったという。検査院は「10年前からみると、農業者数の減少などで信用保証のニーズは減っている。農水省は各協会の状況を把握した上で、貸付金を適切な規模にすべきだ」と指摘している。

 農水省金融調整課は「代位弁済が減ったのは、各協会が信用保証の契約を詳細にみるようにした結果でもある」と主張。ただ、「情勢は変わっていることもあり、指摘を受けて、国への返還手続きを進める」としている。(座小田英史)

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