米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画について、中谷元・防衛相が10日の参議院外交防衛委員会で、「もっと沖縄県が努力をしていれば、もっと早く普天間の移転も進んだ」と発言した。これに対し、玉城デニー知事は11日の記者会見で「認識の違いが甚だしい」と反論した。
日米両政府が普天間返還に合意してから12日で29年が経つが、返還は進んでいない。中谷氏は那覇空港第2滑走路の完成を例に挙げ、「工事は順調に進み、早期にできた。同じ埋め立て工事でどこが違うのか。もっと沖縄県が努力をしていれば」などと答弁した。
これに対し玉城知事は11日の会見で、辺野古では軟弱地盤が海面下90メートルに及ぶ可能性があり、計画通りに工事が進んでも供用開始まで12年かかると指摘。「政府も相当難度の高い工事であるという認識は同じだろう。我々が協力する、協力しないという問題とは全く違うと明確にしておきたい」と不快感を示した。
普天間移設は県内移設が条件とされ、計画は迷走。第2次安倍政権時の2013年に仲井真弘多(ひろかず)知事が国の埋め立て申請を承認したが、以降の知事選では「辺野古反対」の候補が当選し続けている。