都心で出土した高輪築堤の遺構=2021年4月、東京都港区

 埋蔵文化財としての扱いがあいまいで、都道府県によって保護の考え方が違った近世や近代の遺跡について、文化庁が新たな基準を公表した。従来の地域的な観点に加え、全国的な視点も盛り込み、より具体的な例も示した。

 8月半ばに公表された「近世・近代の埋蔵文化財保護について(報告)」によると、これまで江戸時代や明治維新以降の遺跡は、価値判断の考え方が自治体に定着しておらず、保護措置が後手に回る場合があったと指摘。その解消のため、街道や戦跡、鉄道、港湾など具体例を挙げつつ、地域とともに「我が国」の社会・経済・政治を考えるうえで重要なものや、近代化を象徴するものなどを対象としている。有識者らの意見を踏まえての周知化も勧める。

 1998年に示された、いわゆる「平成10年通知」では埋蔵文化財として取り扱う対象を中世までとし、近世の遺跡は「地域において必要なもの」、近現代については「地域において特に重要なもの」としてきた。

 しかし高輪築堤跡(東京)の…

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