(10日、全日本大学野球選手権1回戦 近畿大8―0神奈川大=7回コールド)
試合後、近大の先発左腕・野口練(4年、星稜)は苦笑いした。「今年で一番調子が悪かった」
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いつもは常時140キロを計測する速球が、この日は130キロ台中盤にとどまった。それでも6回無失点、5奪三振。許した安打は1本のみだった。
この春、野口は1失点もしていない。所属する関西学生連盟の春季リーグ戦では、35回あまりを投げて失点と自責点はともに0だ。
どうして打たれないのか。
捕手の岸本紘一(3年、金光大阪)は言う。
「野口さんのスライダーは、いくつも攻め方が作れる。ピンチのときは50センチぐらい、左打者に当たると思ったボールがそのままアウトコースまで曲がる」
曲がり幅の大きいスライダーを、打者の左右に関係なく、どんなコースにでも投げられるという。このスライダーを軸に、相手打者に的を絞らせない。
初戦を終えた野口は「しっかり試合ができることは幸せだと思う」と語った。
高校3年の夏は、石川大会準々決勝を前に複数の部員が新型コロナウイルスに感染し、辞退した。「大学で絶対に花咲かせるという気持ちでやってきた」
下級生のころから救援でマウンドを経験し、3年夏には大学日本代表に選出された。今は、プロの舞台をめざしている。
「大学は悔いなくありたい。一生懸命にやりきりたい」