南シナ海を望む桟橋に立つ。海面は穏やかで、わずか100キロ余り先に中国船団が迫っているとは想像できない。
フィリピン西部パラワン島西岸のケソン町。中比の船同士の衝突が相次ぎ、「新たなホットスポット」と呼ばれるスプラトリー諸島サビナ礁に最も近い漁村の一つだ。
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「死と隣り合わせの1週間でした」
アーネル・レパラムさん(48)が昨年10月の事件を語ってくれた。
レパラムさんは仲間3人とケソン港を出航。近海で漁をした後、約180キロ沖のサビナ礁を目指した。
深夜1時ごろ。目的地まで約50キロの地点で、複数の中国船に囲まれた。
中国海警局と書かれた大小の…