千葉県浦安市が、市内の小学校に壁一面の電子黒板を備えた「メディアセンター」の導入を進めている。総額13億9千万円を投じ、26年度までに全17校に整備する。全校配備は県内初の取り組み。現場では、外部講師を電子黒板に映してオンライン授業をしたり、生き物を実物大で表示して観察したり、様々な活用法が模索されている。
メディアセンターは図書室をベースにした特別教室で、電子黒板やカメラ、マイク、スピーカーも完備する。最大の特徴は、調べ物の際に図書室の蔵書とICT機器の両方が使える点で、必要に応じて紙とデジタルを使い分けて情報収集する力を養う狙いがある。
昨年度までに先行導入された入船小では、既存の図書室と隣の教室をぶち抜いてメディアセンターにした。壁の一面が高さ2・5メートル、幅6・4メートルの電子黒板になっており、タッチ操作で文字を書いたり、画像を拡大したりできる。
各クラスが1週間に一度は使えるよう時間割を組んでいて、どの教科でどんな使い方をするかは教員次第。あるクラスでは、大仏の顔を実物大で映して鼻や口の大きさを実感した。間近で見たことで、大仏が薄く目を開けているなど新たな気づきもあったという。
別のクラスでは、工場見学の予習・復習に活用した。見学先がホームページで公開している「バーチャル工場見学」を投影。事前に見学コースを確認したり、帰ってから見学コースからはよく見えなかった部分をじっくり観察したり、より多くの気づきを得ることができたという。
新井裕子教頭は「先生のアイデア次第でいろいろな授業ができる。大きい画面の方が子どもたちも楽しみながら、より集中して授業に臨めている」と効果を実感している。
昨年度までに浦安、入船の2校に導入した。今年度中に南、東、舞浜の3校、来年度中にそのほかの小学校でも整備する予定だ。