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海鹿島(あしかじま)駅と君ケ浜駅間を走る銚子電鉄の車両=2024年4月21日、千葉県銚子市、熊谷姿慧撮影

 海風を感じながら、牧歌的な風景を楽しめると全国の鉄道ファンに人気の銚子電鉄(千葉県銚子市)が、一部ファンの迷惑行為に悩んでいる。線路内で運行中の車両を撮影したり、鉄道標識を無断で撤去したり。電鉄側は警察に相談するが、厳重な対策を取りにくい事情があるという。

 「撮影マナーをなぜ守っていただけないのでしょうか」

 「他の方に迷惑がかかることを看過できないため、誠に遺憾ですが警察と連携し、取り締まりを強化せざるをえません」

 銚子電鉄は4月、自社のSNSアカウントにこんな切実なメッセージを投稿した。3月ごろから、「撮り鉄」とみられるファンが線路内に立ち入り、安全のために列車を止める事態がたびたび起きていた。

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銚子電鉄の海鹿島~君ケ浜駅間にある踏切の近くには、「立入禁止」と書かれた看板が設置されている=2024年4月21日、千葉県銚子市、熊谷姿慧撮影

 電鉄や千葉県警銚子署によると、路線上の位置を示す「キロポスト」を抜き取ったり、警告の看板を撤去したりする行為があった。器物損壊や威力業務妨害罪に問われる可能性もある。電鉄の担当者は「キロポストは事故や故障で列車の位置を報告する際に欠かせない」と運行への支障を懸念する。

 線路の近くに住む50代男性は「撮影のために畑に勝手に入ったり、飲みかけのジュースを放置する迷惑行為もあるようだ。マナーを守ってくれれば構わないが、常識をわきまえてほしい」。署は4月以降、沿線のパトロールを強化し、行き過ぎたファンの行動に目を光らせている。

 だが電鉄側には、厳しい対策を打ち出しにくい訳があるという。沿線住民の減少などで、現状で利用客の約8割を観光客が占めているためだ。

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犬吠駅の売店で販売している「まずい棒」を手に取る客=2024年6月20日午前11時38分、千葉県銚子市、熊谷姿慧撮影

 沿線では、首都圏では珍しい…

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