「仕事が趣味だ」と言い切ってきた男たちは定年退職後、どう暮らしていけばいいのか――。ヒントをくれるまちが岡山県東北部にある。子育て施策で全国から注目されている奈義町だ。

 7月中旬、町内の会議室におそろいのキャップをかぶった男性が10人集まった。町民有志からなる「ちょいワルじいさん作戦会議」のメンバーたちの月1回の会合だ。「今回は何をする?」。作戦会議を立ち上げた、町の社会福祉協議会の生活支援コーディネーター、植月尚子さん(67)が男性陣に呼びかけ、会合が始まった。

車座になって話し合う「ちょいワルじいさん作戦会議」のメンバーと植月尚子さん(左手前)=岡山県奈義町豊沢、礒部修作撮影

 作戦会議は、地域の高齢男性が参加したくなるイベントを年に1~2回、自分たちで企画し、実施してきた。メンバーは70歳から93歳まで約20人。勤め上げた職業は警察官、中学校教諭、官公庁職員、会社員、農業と様々だ。仕事に真面目に向き合ってきた人たちばかりだという。

最期まで少年のような心で

 作戦会議の立ち上げは2017年。きっかけは高齢男性の閉じこもりだった。人口約5600人の小さな町では、深刻な問題だ。植月さんは37年間、町の保健師として多くの住民と向き合ってきて課題だと感じていた。

 地域の人間関係は、女性は子…

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