(10日、第107回全国高校野球選手権兵庫大会2回戦 神港学園3―0星陵)
ピンチをしのぎ続ける星陵。スタンドからの声援が球場を包む。マウンドでは、エース首藤琉惺(しゅとうりゅうせい)投手(3年)が、ほえ続けていた。
身長164センチ、どっしりとした体格から繰り出す伸びのある直球が持ち味。相手は甲子園出場経験のある強豪校だが、「同じ高校生なんだから関係ない」と、気負いはなかった。
入学してからずっと「心が弱かった」。打たれたらどうしよう、ストライクが入らなかったらどうしよう――。心配が頭を巡っていた。
そんな考えを克服できたのは、監督や仲間の声かけがあったから。「自分の直球を信じていい」「自信を持って投げないと」。練習試合などで経験を積み重ね、ピンチの場面でも「挑んでいく気持ちに変わった」。
試合は投手戦になった。もう「逃げる」気持ちはない。毎回のように得点圏にランナーを背負っても表情を変えず、マウンドで仁王立ちした。打者を抑えると、ほえて笑顔でベンチに戻った。
試合は負けたが、八回まで本塁打の1失点に抑えた。成長した「心の強さ」を全身で表し、球場を後にした。