星陵の首藤琉惺投手=2025年7月10日午後2時41分、ウインク、原晟也撮影

 (10日、第107回全国高校野球選手権兵庫大会2回戦 神港学園3―0星陵)

 ピンチをしのぎ続ける星陵。スタンドからの声援が球場を包む。マウンドでは、エース首藤琉惺(しゅとうりゅうせい)投手(3年)が、ほえ続けていた。

 身長164センチ、どっしりとした体格から繰り出す伸びのある直球が持ち味。相手は甲子園出場経験のある強豪校だが、「同じ高校生なんだから関係ない」と、気負いはなかった。

 入学してからずっと「心が弱かった」。打たれたらどうしよう、ストライクが入らなかったらどうしよう――。心配が頭を巡っていた。

 そんな考えを克服できたのは、監督や仲間の声かけがあったから。「自分の直球を信じていい」「自信を持って投げないと」。練習試合などで経験を積み重ね、ピンチの場面でも「挑んでいく気持ちに変わった」。

 試合は投手戦になった。もう「逃げる」気持ちはない。毎回のように得点圏にランナーを背負っても表情を変えず、マウンドで仁王立ちした。打者を抑えると、ほえて笑顔でベンチに戻った。

 試合は負けたが、八回まで本塁打の1失点に抑えた。成長した「心の強さ」を全身で表し、球場を後にした。

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