「好事魔多し」。自民党ベテランの口癖だ。調子が良いと感じるときほど、落とし穴が忍び寄る。調子が良くて気分も良い。そんなときの不用意な言動ひとつで、逆風にさらされ、政治生命を絶たれかねない。油断大敵。それが浮き沈みの激しい世界を生き抜いていく心得なのかもしれない。
政治取材の中で最も興味深く感じるのは、運命の女神が味方をしているような上り調子の政治家や政党がある一方、運が尽きたかのような逆パターンも目の当たりにすることだ。なんだか、栄枯盛衰を主題にした絵巻物語を見ているかのような気になることがある。
私が主に担当している国民民主党の雰囲気も4月と5月でガラリと変わった。4月に初めて玉木雄一郎代表の会見に出た際は、「SNSを重視するスタイルとはこういうものか」と思った。記者の質問に対して、カメラ目線のまま答える。背景の黄色いボードには躍動感のある「手取りを増やす。」との文字。手ぶり身ぶりを交えながら、明るい口調で語る玉木氏に対し、中継をしているユーチューブには「玉木頑張れ」との書き込みが続き、パソコンやスマホの画面を前に、会見を楽しむ支持者たちの姿が目に浮かぶようだった。
ところが、その空気感は5月…