「能動的サイバー防御(ACD)」を導入する法案が8日、衆院を通過した。政府の権限を大幅に強化する内容で、衆院審議では個人のプライバシー侵害や収集する情報の対象拡大への懸念が指摘された。衆院では「通信の秘密」を不当に制限することを禁じる文言を加える小幅修正があったものの、参院審議でも課題は積み残されている。
- 【そもそも解説】能動的サイバー防御(ACD)って何?詳しく解説
ACD法案は3月18日に審議入りし、衆院内閣委員会での審議と連合審査会、参考人質疑を含めた質疑時間は計23時間だった。
審議では、憲法21条が保障する「通信の秘密」との整合性が大きな論点となった。法案は政府が分析する対象をネット上の住所にあたるIPアドレスや送受信日時といった情報に限り、メールの本文や件名などは含まれない。政府は「通信の秘密に対する制約は必要やむを得ない限度にとどまり、憲法違反にならない」(平将明・サイバー安全保障担当相)と説明してきた。
これに対し野党の一部は、通…