半世紀余りにわたり、岩手県宮古市の交通指導員として子どもたちを見守ってきた80代の男性2人が5月30日、最後の活動を終えた。東日本大震災の津波では、経営する店がともに被害に遭いながら、「無事に学校に通ってほしい」と通学路に立ち続けた。
同市田老の津田重雄さん(84)と同市津軽石の舘下忠さん(81)。それぞれ57年間と52年間、児童・生徒の登校を見守ったり、交通安全教室に参加したりしてきて、今月末で勇退する。
津田さんは1968年、旧田老町(現宮古市)の交通指導員になった。車が急増する一方、交通安全対策が追いつかず、死亡事故が急増して「交通戦争」と呼ばれていたころだ。地区を通る国道に信号機はなかったといい、「事故を起こさせない」一心だった。
2011年3月11日、田老…