名古屋市立大学は、高度急性期から慢性期までの病床がある六つの付属病院からなる市立大学病院群(総病床数2233床)で電子カルテを共通化する。同大学によると、国公立大学の付属病院では初めての試みという。
同大学は2028年度の導入を目指し、転院時の医師の紹介状を不要にするなどして利便性を高め、多種多様な医療を付属病院で連続して提供する「なごや医療モデル」を構築する。
市立大学病院群は、名市大病院(瑞穂区)を除く、東部医療センター(千種区)、西部医療センター(北区)、みどり市民病院(緑区)、みらい光生病院(名東区)、リハビリテーション病院(瑞穂区)の5病院をこの4年間で付属病院化した。
このため各病院では異なる電子カルテを利用しているが、26年度から更新時期に合わせて電子カルテの共通化を進めることにした。
共通化により、付属病院間での転院時は患者の治療状況や投薬履歴など、詳細な情報がどの付属病院からも入手でき、診察で患者から聞き取りする時間などが短縮できるという。
並行して病院のデジタル化も進める。スマートフォンやタブレットで入力できる「デジタル問診票」、診察の待ち時間がわかったり診察予約の確認、変更ができたりする「通院支援アプリ」、「後払い会計システム」などを取り入れ、患者の待ち時間の短縮や職員の働き方改革の促進につなげる。
松川則之・名古屋市立大学病院長は「病院群だけでなく、将来は開業も含めて情報の共有化を図り、次世代を見据えたより質の高い医療を目指したい」と話す。