高山正之氏の「創氏改名2.0」と題したコラムが掲載された「週刊新潮」7月31日号

 「週刊新潮」に連載していた元産経新聞記者・高山正之氏のコラム「変見自在」が、20日発売号を最後に終了することがわかった。高山氏のコラムを巡っては、7月24日発売号で「日本名を使うな」などと名指しで差別を受けたとして、作家の深沢潮(うしお)さんが発行元の新潮社に文書での謝罪と、誌上での批判・反論をするための紙幅を確保するよう文書で求めていた。

 新潮社の関係者によると、20日発売号では、コラムの欄外に、高山氏と編集部が協議し、終了を決めたとの説明が加えられているという。ただ、終了の理由は記載されていない。また、コラムを巡っては、社内で継続を疑問視する声が出ていたという。

 新潮社は19日、朝日新聞の取材に「毎号の編集内容については、発売前には公表しておりません」とコメントした。

 問題のコラムは、1940年、日本が朝鮮人に日本式の姓名に改名するよう強いた政策を引いて「創氏改名2・0」と題したもの。在日コリアンの深沢さんをはじめ、俳優や大学教授らの実名を挙げて、「日本も嫌い、日本人も嫌いは勝手だが、ならばせめて日本名を使うな」と記した。

 これを受けて深沢さんは8月4日に記者会見を開き、「私の心は打ち砕かれた。屋上でいい景色を見せてくれたと思ったら、背後から突き落とされた」と声を詰まらせながら語った。深沢さんは2012年、小説「金江(かなえ)のおばさん」が新潮社主催の「女による女のためのR―18文学賞」で大賞を受け、デビューした経緯がある。会見には、小説家の桐野夏生さんや柚木麻子さん、翻訳家の斎藤真理子さんら約40人が「出自を理由にしたヘイト」「言葉で暴力をふるうのは言論ではない」といった抗議のメッセージを寄せた。

 新潮社は、深沢さん側に「(高山氏のコラムは)真意が極めて伝わりづらいものとなっており、それどころか、深沢様をはじめ多くの方に『差別である』『人格権を著しく侵害する』と厳しいご批判を受ける事態に至ったことは申し訳ない」などと12日付で回答した。しかし、深沢さん側は「批判を受ける事態」になったことへの謝罪にしか読めないとして、改めて文書で回答するよう求めている。

 「変見自在」はこれまでに1146回掲載され、20年以上続いてきた。連載をもとにした書籍も刊行されている。

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