止まらない物価高。学校給食にかかる費用も増える一方だ。国による学校給食の無償化の実現はまだ先。愛知県内の各自治体は、春から保護者に10円、20円の値上げをお願いしたり、値上げ分をかぶって据え置きにしたり……。なるべく保護者の負担は抑えたいと考えているが、巨額の費用がかさむだけに対応も様々だ。
長久手市は4月から小中学校の給食費を1食あたり90円値上げした。公費での支援もあるため、実際には保護者の負担額は小学校で1食250円、中学校は同290円と値上げ幅を30円に抑えた。
尾張旭市も同様。公費支援の額を増やして、保護者負担額は小学校は据え置き、中学校は10円増に抑えた。
日進市は小学校が1食240円から300円に、中学校が270円から340円に引き上げた。当初は全額保護者負担の方針を打ち出していたが、国からの交付金を活用することで値上げ分の半額を公費で負担し、実質小学校は30円、中学校は35円増となる。
保護者の負担額を据え置いた自治体も。
昨年4月、給食費の保護者負担額を上げたばかりの常滑市。依然として物価高が続いているが今年度は本来、値上げする1食あたり20円分を市が負担して据え置いた。
東海市も保護者の負担を抑えるため、かかる費用の値上げ分を公費で賄う。その結果、公費負担額が4千万円近く増えて今年度から計1億1870万円となった。財政が豊かで地方交付税が交付されない「不交付団体」。だが、花田勝重市長は「無償化まで踏み切る予定はない。子どもにかかる政策は国が一律に取り組むべきだと思っている」。
学校給食の無償化を完全実施しているのは県内では豊田市など7自治体に限られている。財政が豊かか、児童・生徒数が比較的少ない自治体だ。大府市も財政は豊かな「不交付団体」だが昨年、中学校についてのみ無償化を実現できた。
完全無償化には、巨額の費用がかかることがネックになっている。
南知多町は今年4月から9月末まで小中学校の給食無償化に踏み切った。予算は1910万円。無償化が終わった10月以降も保護者が支払う額は、現状(小学生が1食250円、中学生が同290円)に据え置く。
豊橋市は昨年に続き、4月から小中学校の給食費の保護者負担が半額だ。小学校は1食150円、中学校は同175円にしているが、負担額が半分といっても小中学校の児童・生徒など約2万6千人おり、今年度だけで約7億4千万円の事業費がかかる。
田原市も学校給食費の半分を公費で負担するため、1食あたりの保護者負担額を抑えた。小学校だと、3月までは物価上昇分の20円を市が負担して1食230円で、本来、値上げによって280円になるところを140円にした。
小学生約2900人、中学生約1600人の保護者が対象で、支援額は約1億2963万円になる。山下政良市長は「子育てしやすい環境を整えていくが全額無償化するだけの財源がないため、がんばって半額までだ」と話した。