2030年度末だった札幌延伸の開業時期が「数年」遅れることになった北海道新幹線。難航するトンネル工事に加え、建設現場の労働者の高齢化が懸念材料となっている。これまでの工事に伴う事故死者は8人。経済活性化に早期開業は重要だが、安全面確保の目配りは欠かせない。
JR札幌駅―苗穂駅間の線路の南側では、昨年6月から新幹線車両基地の高架橋の工事が始まった。現在は支持杭づくりのための場所打ち杭を打ち込む作業中だ。総延長約1.3キロにおよぶ細長い巨大な車両基地は、2028年3月末に完成する予定だ。
この現場を3日、三富則江・厚生労働省北海道労働局長らが安全パトロールの一環で訪れた。三富氏は、100人以上の作業員を前に北海道内の建設現場では今年1月からの5カ月間で死者がすでに6人にのぼっていることを明らかにし、「死亡災害はあってはならない」と訓示した。
6件の死亡事故のうち1件は、3月にあった長万部町の北海道新幹線高架橋の工事現場での事故だった。こうした事態を重くみる車両基地の施工者である鹿島・飛島・岩田地崎・中山の共同企業体(JV)の幹部は現場の安全管理について「何が何でも死亡災害だけは絶対になくそうということを念頭においている」と説明。重機やクレーンの周りの立ち入り禁止やウェブカメラの設置などで安全を管理していることを強調した。
労働者の死亡、50~70代に集中
鉄道・運輸機構のまとめによ…