平安時代末から鎌倉時代初期に日本を代表する彫刻を残した仏師運慶(1223年没)が制作した可能性の高い国重要文化財「厨子入木造大日如来座像(ずしいりもくぞうだいにちにょらいざぞう)」が、本格的に修理される。公益財団法人朝日新聞文化財団が助成する。運慶作とわかれば国宝級とされるこの仏像の魅力はどこにあるのか。

 1988年に重文に指定されたこの仏像は、鎌倉幕府の御家人足利義兼(よしかね)(1199年没)が注文したとされる。義兼は足利源氏の2代目で、初代執権北条時政の娘を妻とし、初代将軍源頼朝の義弟にあたる。仏像は明治維新の神仏分離政策で樺崎寺(栃木県足利市)から移されて現在は光得寺(足利市)が所有し、1996年から東京国立博物館(東京都台東区)に寄託されている。

 仏像本体の高さは約30センチ。本体を安置する厨子や台座、仏身から発する光明を表現した光背(こうはい)も、制作当初の姿を伝える。小さな厨子の中に曼荼羅の世界が立体的に表現され、義兼の個人的な強い願いが込められていると推測される。

 台座の獅子は尻尾まできちん…

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