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 昨年12月、運転士が不在の札幌市電(路面電車)が乗客を乗せたまま動きだして約30メートル先で停止した重大インシデントについて、運輸安全委員会は26日、調査報告書を公表した。

 報告書によると、運転士は中島公園通停留場(札幌市中央区)の連絡電話を使用するために降車。その前に、運転士の防寒着がブレーキハンドルと接触し、車両のブレーキが緩んで勾配の下り方向に動きだした。運転士は厚着だったため接触した感覚が鈍くなっており、接触に気づかなかったとみられる――とされた。発生当時の気温はマイナス1.1度。乗客21人にけがはなかった。

 また、再発防止策として、「保有する全ての車両に、運転士が運転席を離れた場合に自動的にブレーキが作動する装置を取り付けることが望ましい」などをあげた。

 札幌市交通局によると、自動ブレーキ装置のない車両は22両で、全体の6割にあたる。今年度中に運転台下部に足踏みスイッチを設け、足を離すとブレーキが作動するよう車両を改造するという。運行にあたる札幌市交通事業振興公社は「輸送の安全確保に努めて参ります」とコメントした。(原知恵子)

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