公正取引委員会は11日、運送会社への支払代金を不当に減額したり、超過勤務の対価を支払わなかったりしたとして、住宅設備販売会社「橋本総業」(東京)に独占禁止法違反の疑いで立ち入り検査に入った。関係者によると、独禁法が定める「不公正な取引」を同社が10年以上にわたり続けていた疑いがあるという。
運送業界の「不公正な取引」は「物流特殊指定」という告示で細かく示されている。今回は、これに該当するとして立ち入りに踏み切る初のケース。不当な値下げ圧力や、トラック運転手が不足する「2024年問題」の社会問題化を踏まえ、公取委が荷主に対する取り締まりを強化しているとみられる。
関係者によると、橋本総業は、住宅設備の部品の運送を依頼していた業者との間で、当初合意した発注額を事後的に減額した疑いがある。積み込み作業などをトラック運転手にさせて超過勤務が生じたのに、追加の支払いをしなかった疑いもある。同様の取引が、複数の運送会社との間で10年以上にわたり行われていたとみられるという。
親会社の橋本総業ホールディングスは「公正取引委員会の検査に全面的に協力してまいります」とコメントした。橋本総業の昨年3月期の売り上げは約1352億円だった。
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