福島県白河市は12日、今月上旬に国内最強級の竜巻被害を受けた静岡県牧之原市へ、各種の支援を行うと発表した。過去には因縁があった両市だが、最近は「恩讐(おんしゅう)を超えて、未来志向の関係を築く」と交流を深めていた。その最中に起きた災害で、さっそく支援に動いた。
江戸時代に白河藩では松平定信、牧之原市にあった相良藩では田沼意次がそれぞれ藩主を務めた。2人には確執があったとされ、この2人が江戸幕府の老中として相次いで登場するNHK大河ドラマ「べらぼう」では、若い頃の定信が意次に恨みを抱く経緯が描かれている。
だが、大河ドラマはゆかりの自治体に波及効果をもたらすことから、放送を機に両市は2月と5月に市長が相互訪問して交流を深めていた。
白河市の支援策は三つ。家屋被害の調査のために税務課の職員2人を21日から1週間派遣する。1人は2011年の東日本大震災を職員として体験し、16年の熊本地震では応援に入ったベテランで、もう1人は若手という。
さらに、市として見舞金10万円を贈るとともに、市職員からも義援金を募る。三つ目の支援として、「ふるさと納税」の事務作業を牧之原市に代わって引き受けるという。
広報白河の9月号(https://www.city.shirakawa.fukushima.jp/page/page010215.html)では牧之原市を特集。小峰城跡にあり、白河観光物産協会が運営する「二ノ丸茶屋」では8月から、牧ノ原の名産である緑茶や、お茶を使ったお菓子を販売している。竜巻被害を知って、急きょ募金箱を用意した。