神奈川大会優勝を決め、スタンドに右手を突き上げる横浜の林田大翼マネジャー(左)=2025年7月27日午後4時39分、横浜、中嶋周平撮影

(8日、第107回全国高校野球選手権大会1回戦 神奈川・横浜―福井・敦賀気比)

 春の選抜大会を制した横浜が、再び甲子園に戻ってきた。松坂大輔(元西武、レッドソックスなど)らの世代が成し遂げて以来、同校として27年ぶりの甲子園春夏連覇に臨む。

 だが、ここまでは順風満帆ではなかった。選抜大会の優勝後、チームの歯車は狂った。

 主将の阿部葉太(3年)は「チームが調子に乗っていた」と振りかえる。

 バントや走塁など、チームプレーの正確さがなくなった。一人ひとりが個人の成績ばかり気にかけるようになり「全員野球」の意識が薄れていた。

 名門の横浜には、中学時代に実績を残した選手たちが集まる。「プライドの高い選手が多い。選抜優勝のおごりから、自分中心になっていた」と阿部葉は語る。

 5月、関東大会準決勝で専大松戸に敗れ、昨秋の新チーム発足後続けていた公式戦の連勝が27で止まった。翌月には「夏の前哨戦」として臨んだ大阪桐蔭との練習試合にも敗れた。

 「このままじゃ、夏は勝てない」。チームに焦りが生まれた。

 大阪桐蔭との練習試合の後。今村稀翠(きすい)(3年)が「少し時間をおいてから、3年生だけで話し合おう」と提案した。

 午後8時ごろに学校に戻ると、3年生全員がグラウンドの芝生の上で30分間、チームがどうあるべきか考えた。その後、車座になり、1人3分ずつ思いを発表した。

「自分のプライドは捨てよう」

 ミーティングでは、ベンチメ…

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