神奈川県高校野球春季大会(県高野連主催、朝日新聞社など後援)の決勝が7日、横浜スタジアムであり、横浜が5―4で東海大相模を下し、7年ぶり14度目の優勝を果たした。横浜は春の選抜大会でも優勝しており、昨秋の新チーム発足からの公式戦の連勝を25に伸ばした。
両校は17日から茨城県で開かれる関東大会に出場する。18日午後0時30分、横浜は作新学院(栃木2位)と、東海大相模は常総学院(茨城1位)と対戦する。
タイブレークの接戦
横浜が延長タイブレークの接戦を制した。2点を追う七回、阿部葉の左前打に四球と敵失を絡めて追いついた。十回には駒橋の中前適時打でサヨナラ勝ち。東海大相模は初回に3連打で2点を先取し、その後追加点を挙げたが、四球や守備の乱れが響いた。
切り替えサヨナラ打 横浜の駒橋選手
十回裏1死満塁。横浜の駒橋優樹選手(3年)はスクイズを狙ったが、フォークで外された。飛び出した三塁走者がアウトに。「焦りはありました」
ベンチを見ると、監督や選手が「切り替えろ」と声を張り上げてくれた。「引きずっても仕方ない。打つしかない」
高めのボール球を見送る。次はフォークだと感じた。「自分も捕手なので配球を考えました」。狙い通りの1球に食らいつくと、打球は中前に抜けた。
右手を突き上げて一塁を駆け抜けた後に、ホームベース上の歓喜の輪に加わった。
選抜優勝後、チームの状況は良くなかった。バント失敗に牽制(けんせい)死。「甲子園ほどの熱が入らずプレーが雑になってしまっていた」。それでも、夏の甲子園への前哨戦として気合を入れ直した。
公式戦無敗のまま関東大会に進む。「目の前の1球、1打席にかけてがんばりたい」と気持ちを込めた。
強気の投球 東海大相模の島村投手
東海大相模の先発、島村宏斗投手(3年)は六回裏、四球が続いて2死満塁のピンチを招いた。「打者から逃げてしまった」
続く打者は、選抜でも活躍した横浜の1番・奥村凌大選手(3年)。滑り止めをにぎり、汗をぬぐい、覚悟を決めた。「自分を信じよう」。強気で直球を投じると、左飛に打ち取った。
この日は制球に苦しんだが、7回を投げて横浜打線を自責点2に抑えた。
エース福田拓翔投手(3年)がコンディション不良のため、今大会では背番号1を背負う。「自分が穴を埋め、福田を超える気持ちで投げた」
ライバルの横浜が選抜で優勝し、「横浜1強」と呼ばれることに、チーム全員が悔しさを感じている。
「横浜1強は、自分たちが覆さないと」。関東大会と夏の神奈川大会での雪辱を誓った。