延長十回、サヨナラ打を放った横浜の駒橋優樹(右)と、泣き崩れる東海大相模の選手

(7日、神奈川県高校野球春季大会決勝 横浜5―4東海大相模=延長十回タイブレーク)

 すでに関東大会の出場は決まり、甲子園につながるわけでもない。それでも、横浜の選手たちは勝利を手にすると、選抜大会を制したときと同じように歓喜の輪を作った。それだけ、苦しい試合展開だった。

 対戦相手は昨夏の全国8強メンバーが多く残る東海大相模。主将の阿部葉太は振り返る。「(監督から)『春の県大会で勝って本物だぞ』と言われてきた中で、前半でふがいない試合をしてしまった」。

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 一回、先発の織田翔希がいきなり2失点を喫した。相手打線はカウント球を見逃さず、果敢に振ってきた。

 「劣勢の展開はあまり経験してこなかった」と4番の奥村頼人。毎回のように作る得点圏で、あと一本が出ない。四、五回は併殺を奪われ、六回は2死満塁の好機をつくるも無得点に終わった。

 それでも、四回途中から救援した奥村頼が五回以降は0を並べ、守備陣も無失策で粘ると、七回に相手守備の失策に乗じて同点に。そして延長十回裏、駒橋優樹はスクイズを失敗した直後、左手一本でセンター前に運んで試合を決めた。

 選抜大会を制してから、1カ月あまり。昨秋から続く公式戦の連勝記録を「25」に伸ばした。

 苦しみながらつかんだ頂点を、村田浩明監督は「どんな状況でも最後にはなんとか勝った。価値ある優勝」と評した。

 一方、敗れた東海大相模の選手たちは泣き崩れるほど悔しがった。

 原俊介監督は「(エースの)福田以外のピッチャーでぎりぎりの勝負ができた」と手応えを語りつつ、「紙一重の勝負で敗者になった我々は、それ(悔しさ)をエネルギーとして、どういう風に取り組んでいくのか考えないといけない」と言う。

 両校は昨秋の県決勝でも対戦し、横浜が5―2で危なげなく勝った。連勝を飾ったとはいえ、奥村頼は「打倒・横浜」を掲げるライバル校の実力を痛感し、厳しい言葉を口にした。

 「勝ち切れたのはよかったけど、もっと圧倒しなければいけない。このままだと、夏の厳しい山も登れない」

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