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討論会で大量のスマホを向けられる自民党総裁選の9候補=2024年9月17日午後2時42分、金沢市のホテル、土井良典撮影

 自民党総裁選では、選択的夫婦別姓の導入も大きな争点となっている。「伝統的な家族観」を持つ保守系議員への配慮から、約30年にわたり議論が進んでこなかったが、今回の総裁選では、初めて明確に推進を打ち出す候補が複数あらわれた。

 最も積極的なのは小泉進次郎元環境相だ。総裁就任後「1年以内」に関連法案を提出し、党議拘束をかけないで採決する考えを打ち出した。河野太郎デジタル相や石破茂元幹事長も導入に賛成の立場だ。3氏に共通するのは、夫婦や親子で同姓がいい人は同姓を選べるのだから、少数であっても別姓を求める人がいるなら選択肢を増やしてもよいという態度だ。

 一方、保守派は真っ向から対立する。同姓が強制されているのは日本だけだが、高市早苗経済安全保障相や、小林鷹之前経済安保相らが繰り返すのは、一部であっても親子や兄弟など家族が別姓を名乗ることになると問題が生じるという考え方だ。高市氏は選択的別姓を希望する人を「戸籍上も親子が違う氏になる、夫婦が違う氏になる。要はファミリーネームがなくなるという、それを望んでおられる方々」と表現し、小林氏も「子どもの視点をもっと考えるべきだ。兄弟姉妹で姓が分かれる家庭も出てくる」と懸念を示す。その上で、主に女性たちが引き受けている改姓で生じる負担やリスクについて、旧姓の通称使用を拡大すれば問題が解決すると語っている。

 それに対し、結婚して改姓した経験を持つ上川氏は、社会を分断するリスクがあるなどとして法制化には慎重な姿勢を示しつつも、「私自身、結婚し、姓を変えて、旧姓を使用していない。姓を変えたとき私自身のアイデンティティーが半分そがれたような思いがした」と明かし、問題の本質を指摘している。

クオータ制の導入は?

 世界でも極端に少ない女性議員をどう増やすかも論点になっている。候補者や議席の一定割合を女性とする「クオータ制」の導入も一つだ。

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