Smiley face
写真・図版
辻愛沙子さん=本人提供

■子どもを産めと言われても

 58.7万人ものカップルが、選択的夫婦別姓の法制化を待ち望んでいる。そんな調査結果が、今年の4月に報じられました。

 これは言い換えれば、依然として進まない国の制度によって、58.7万人もの人々が人生の選択肢を奪われている状況とも言えます。

 かくいう私自身も、選択的夫婦別姓が法制化されたら法律婚を望む20代、62.3%のうちのひとり。紛れも無い当事者として、これまでずっと声を上げ続けてきました。

 少子化や若者の婚姻率低下が国力の低下につながると警鐘が鳴らされてから久しいですが、事実、こうしてふたりで結婚を望み、将来を共に歩もうと考えるふたりの道を、今の強制的夫婦同姓制度やそれを変えてこなかったこの国の政治が阻んでいるわけです。

 当事者の声を無視し続けていながら、やれ結婚をせよ子どもを産めと言われても、当然状況が変わるわけはありません。事実、姓を選択できるようになれば法律婚をしたいと考える人たちが60万人近くも存在していることが、こうして証明されたのですから。

  • 言論サイトRe:Ron

■〝失われた30年〟を象徴

 法案が答申されたのは1996年、私がまだ1歳の頃です。

 当時も、与党・自民党が反対したことで法案は閣議にすらかけられず、国会提出を断念せざるをえなかった。そこからかれこれ30年が経とうとしています。一体何組のカップルが選択肢を奪われ続けなければいけないのでしょうか。

 当時1歳だった私自身はパー…

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