参議院本館側から見た国会議事堂=2025年6月30日午前8時7分、東京都千代田区、岩下毅撮影

 参院選で論点となっている選択的夫婦別姓の導入をめぐり、与野党幹部が13日のNHKの討論番組で論戦を交わした。

 自民党の森山裕幹事長は「家族の姓が異なることで子どもが混乱し、親子のつながりに影響が出てくる可能性も考えられる」と述べ、「現在の制度でも通称使用など柔軟な運用ができるようになっている」と導入に慎重な姿勢を示した。

 これに対し、与党・公明党の西田実仁幹事長は導入に「賛成」とし、「人権の観点からも別氏を選択できるようにするべきだ。自民党にも働きかけをしていきたい」と語った。

 導入法案を通常国会に提出した立憲民主党の小川淳也幹事長は「夫婦別姓にしようと言っているわけではない。そう望む夫婦には選択肢を用意した社会を作りたいと申し上げている」と述べ、秋の臨時国会で法案を成立させることに意欲を示した。共産党の小池晃書記局長も「同姓にしたい人は同姓でいい。生まれ育った氏を捨てたくないという選択肢をなぜ政治家が押さえつけるのか」と語った。

 立憲とは異なる導入法案を通常国会に提出した国民民主党の榛葉賀津也幹事長は「選択肢を幅広く認めていく」とした上で、「家族観や人生観にも深く関与する。国や家族を分断するのではなく、より深い議論が必要だ」とも指摘した。

 れいわ新選組の山本太郎代表は「昔の家父長制みたいなものを今の若い人たちに押しつけるのか。昭和の忘れ物みたいな発想はやめたほうがいい」。社民党の大椿裕子副党首も「別姓でいきたいという希望を政治によって実現していこうと呼びかけたい」と述べ、それぞれ導入を急ぐべきだとの考えを示した。

 旧姓の通称使用を法制化する案を通常国会に提出した日本維新の会の岩谷良平幹事長は、「旧姓を使えないことで不利益、不便をこうむっている方々がたくさんいる。これを現実的に解決しようというのが我々の対案だ」と述べた。

 一方、導入に「反対」の姿勢を明確にしている参政党の神谷宗幣代表は「旧姓の使用をしっかりと法制度で認めていけば国民のニーズにはかなう。時代は変わっても変えてはいけない価値観はある」。日本保守党の有本香事務総長は「女性はほとんど通称の旧姓のまま仕事ができている」と指摘した。

 同番組では、参院選の結果、与党が参院でも過半数割れした場合の対応も問われた。政権を取りに行くのかと尋ねられた立憲の小川氏は「当然だ。私どもはあくまで政権交代を目指していく」と強調。一方、自民の森山氏は、「下野をするのか、野党の協力を得て政権を維持するのか」と質問されたのに対し、「過半数割れを起こさないように戦っている」などと述べるにとどめた。

共有
Exit mobile version