気候変動が進行する中、選挙で争点とすることは可能なのか――。6月29日の日曜、東京都内で、気候変動と政治を考えるシンポジウムが開かれた。
会場には、若者から年配までの約200人が集まっていた。登壇したのは自民、公明、立憲、国民、維新、共産、れいわ各党の国会議員。「国民負担と気候変動政策」「政策の決め方」といったテーマについて、各党の取り組みや政策を語った。
主催した、若者団体やNGOなどでつくる「政治家に声をとどける有志の会」によると、告知期間が1カ月ほどと短かったにもかかわらず、SNSなどを通じて予想以上の参加申し込みがあったという。
複数の国際世論調査で、世界の5人に4人は、自国の政府により強い気候変動対策を求めているとの結果が出ている。猛暑や異常気象など、気候変動の悪影響が強まる中、日本でも、有権者が投票する際の判断材料の一つとして認識されつつあることを示す調査が出始めている。
登壇した議員は口々に「本当に深刻な状況で、政治がリーダーシップをとって対策を取らないといけない」「気候変動で災害が頻発する経済ロスは莫大(ばくだい)。対策をできるだけ強化していくのが今重要だ」などとアピールし、会場からはたびたび拍手が湧いた。
インスタグラムで3日前にシンポジウムについて知って参加したという都内の会社員女性(27)は「環境問題には関心があったがSNSでは目にする意見が偏ってしまうのかなと思い、普段あまり聞かない政党の意見もバランス良く聞けるかと思って来た」という。いずれの政党も気候変動対策の重要性は指摘していたが「ごまかそうとしていると感じた回答があったり、逆に積極的で芯をとらえた回答だったりと、政党の色が見えた気がする。投票先を決めるひとつの要素にしたい」と話した。
盛り上がりの一方で、議員側からは気候変動を選挙の主要な争点とすることへの難しさをにじませる意見もあった。
ある登壇議員は「こうした機会は本当にありがたい」と述べつつ、大手メディアの世論調査などでは物価高や社会保障、子育て支援に関心が集中し、環境問題への関心は低いと指摘。自身の党内でも環境問題に関する会議には「恥ずかしながら、参加人数があまり多くない」と吐露した。
その上で「参議院選挙の争点にしてもらいたい。我々もしっかり訴えて参るし、皆さんが各党の候補者の訴えをぜひ評価していただけると、温暖化対策も前に進むと信じている」と呼びかけた。