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扱う野菜には、品種や作り手の説明を書いている。「店は生産者とお客さんのつなぎ役」と赤塚瑠美さん=京都市左京区
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記者コラム「多事奏論」 くらし科学医療部(大阪)記者・長沢美津子

 「なぜそうなるの、と言いたい気持ちでしたが」と赤塚瑠美さん(37)、「私たちは分断には乗らない。対話を選ぼうと決めました」と春山文枝さん(55)。小さな自然食品店をそれぞれに営むふたりは、共同でSNSに声明を出した。7月の参院選、公示すぐのことだ。

 「有機農法の普及」「オーガニック給食の推進」と政策に掲げる参政党が、選挙戦で人と人の分断をあおるような差別発言を広めていた。両立させるなんて。ふたりの声明は、「限られた人のためのオーガニックは 私たちの目指す世界ではありません」と始まる。

 店は京都市左京区のご近所同士。周辺には大学や団地が点在し、留学生や長期滞在者など、様々な国にルーツを持つ人が暮らす。多様性はこの町らしさなのに、朝晩のあいさつを交わす通りで「日本人ファースト」というポスターを見た瞬間の違和感、自然との共生を尊ぶオーガニックの支持者に、排外主義が近づく危機感。黙っていられなかった。

 400字ほどの声明には、自…

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