公職の候補者の氏名や経歴、政見などを掲載した「選挙公報」。2019年以降は自治体ホームページ(HP)に音声読み上げ対応のPDF版選挙公報もアップされるようになり、視覚障害者がスマホやパソコンなどを使って内容を把握できるようになった。だが、意味が通らない順番で文章が読み上げられるなどの課題も指摘されている。そんな課題を津市に住むデザイナーが解決した。7日の三重県知事選でも使われたアイデアのカギは、公報に仕込んだ「見えない文字」だ。
選挙公報は各選挙管理委員会が候補者側から提出された内容で発行し、有権者がいる世帯に配布する。一般的には新聞折り込みなどで届けられるが、12年の総務省通知でPDF版を自治体HPに掲載することが可能になった。
一般の選挙公報のほかに、候補者は音声読み上げ対応のPDF版を任意で提出できる。これも自治体HPにアップされ、テキストを読み取るソフトで内容を「聞く」ことができる。
読み上げには課題もある。PDFに複数の文章があると、意図しない順番で読み上げられて意味が通らない内容になることや、県政を「けんまつりごと」、三重県の「県」がないと、三重を「さんじゅう」と読んでしまうこともあるという。
妙案を考えたのが、選挙のプロモーションを手がけるデザイナー萩野茂樹さん(71)。7日の三重県知事選では再選した一見(いちみ)勝之知事の選挙公報の作成などを担当した。萩野さんには視覚障害者ボランティアの顔もある。
妙案はシンプルに…背面の層に「仕掛け」
解決策はシンプルだ。選挙公…