妻の納骨を終え、墓の写真を撮る男性=2024年7月28日午後0時57分、東京都八王子市元八王子町2丁目、寺島笑花撮影

 身寄りのない被爆者らの遺骨を埋葬する「原爆被害者の墓」が東京にある。原爆で家族を失い、戦後も差別をおそれて上京した人たちが眠る。被爆者のよりどころになってきたが、高齢化により管理が難しくなっている。

 墓は、在京被爆者の会「東友会」の元役員、故・山本英典さん(2021年死去、享年88)が2005年、東京霊園(東京都八王子市)に建てた。分骨を含め約60人の遺骨が納められ、銘板に名前だけが刻まれている人も4人いる。

 東京都は全国で4番目に存命の被爆者が多い。身寄りのない被爆者が孤独死すると、会に自治体から連絡が入ることもある。

「居場所ない被爆者、二度と生みたくない」

 建立のきっかけは、東友会が携わっていたある男性の死だった。広島で被爆後、貧しい生活を変えようと上京したという。会で相談員を務める村田未知子さん(73)によると、生前に多くを語ることはなかったが、妻や家族は広島に残してきて、晩年は親族との縁が切れていた。それでも、と東友会が遺族に連絡すると、おいが遺骨を引き取ることになった。

 遺骨は、村田さんが広島まで…

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