昨年4月13日、彼女は生まれ変わったと思っている。自他ともに認める「引っ込み思案でおとなしい性格」。でも、どうしても黙っていられなかった。子どもたちの笑顔を守りたい――。そんな衝動が彼女を突き動かした。
漁業の町として知られる石川県能登町。港からほど近い町中心部の宇出津(うしつ)地区に、介護福祉士の浜中淳子さん(48)の自宅はある。
昨年元日の能登半島地震の揺れに耐え、津波は自宅の目の前まで押し寄せたが、自宅には届かなかった。
ただ、断水したため、避難所に入った。そこで目にしたのは、笑顔を見せず、うつむきながらゲーム機をいじる子どもたちの姿だった。特別支援学級に通う障害のある長男(9)は、慣れない環境に不安が募り、プレッシャーを感じているようだった。
「どうしたら、この子たちの笑顔を取り戻せるのだろう」。浜中さんの目から自然と涙があふれ出たという。
思い切って子ども食堂開催を宣言
昨年4月13日、県立能登高校。県が被災者から意見を聞く「のと未来トーク」の会場に、浜中さんはいた。
同じく介護福祉士の夫と長男…