小山勇気さん(中央)と、運営する保育園の子たち=2024年9月5日午後0時25分、茨城県つくば市、中村幸基撮影

 学校部活動の地域クラブ移行は、国が掲げた改革推進期間(2023~25年度)の半分が過ぎた。茨城県つくば市立みどりの学園義務教育学校では、今春から平日・土日を問わず完全移行。運営を担う民間企業「エンボス企画」の小山勇気代表(33)に、部活地域移行の未来について聞いた。

 ――どういう会社か?

 「スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことができる社会の創出をめざす会社です。2020年に創業し、つくば市内で保育園、スポーツクラブ、学童保育などを手がけています」

 ――みどりの学園での取り組みは?

 「地域クラブ『みどりのSCC(スポーツ&カルチャークラブ)』を立ち上げ運営しています。運動部だけでなく吹奏楽や美術など文化部も含め計16種目。各種目の競技歴や指導歴が豊富な指導者が担当しています」

 ――指導者の確保は難しそうだが?

 「私は筑波大学の蹴球部出身。大学院在学中からサッカークラブ『つくばFCレディース』の指導に携わってもきた。筑波大で培ったスポーツ人脈が生かせる。吹奏楽は『茨城おとのわプロジェクト』のプロ演奏家らと連携しています」

 ――参加する子どもたちの費用負担は?

 「年会費6600円、月会費3850円ですが、平日が3日、土日は1日の週4日に活動日が増えたので、来年度から月5500円にさせていただく予定です」

 ――高くないか?

 「部活にお金を払う意識が根付いておらず、抵抗感があることもわかります。ただ、小学生のスポーツ少年団や習い事の多くは月3千~5千円で週1回。それと比べたらどうでしょうか? お金をいただくからこそ、ガバナンスが利く。専門性の高い指導者には、相応の報酬が必要です」

 ――地域移行の受け皿として事業拡大も?

 「つくば市は人口増加地域で東京通勤者や教育研究機関従事者も多い。新しい取り組みを受け入れてもらいやすい土壌といえるかもしれません。過疎地域では住民感覚も異なるでしょう。でも信用を積み上げ、良いサービスを提供できれば、その地域への移住定住促進にもつながるのでは。まずは、つくばで成功事例を作ろうという意気込みでやっています」(中村幸基)

     ◇

 <学校部活動の地域移行> 教員の負担軽減と少子化での部員減への対応を主な目的に、スポーツ庁と文化庁が2022年、学校部活動と地域クラブ活動のあり方に関する総合ガイドラインを示し、学校単位ではなく地域横断的なスポーツクラブや文化団体、民間企業による活動へ移すことを掲げた。指導や運営の人材確保、謝礼や施設利用に要する財源、困窮家庭への支援の必要性などが課題と指摘されている。

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