記者解説 経済部・藤田知也
日本郵政グループの民営化の道筋を定めた郵政民営化法が成立してから、今年で20年を迎える。郵便局の利用が減り続けるなか、自民党は年約650億円の支援を想定し、関連法の改正をめざす。全国に約2万4千ある郵便局網を維持するコストの一部を国民に負担してもらい、日本郵政側にも窓口の活用を求める内容だ。
2005年10月に成立した郵政民営化法は「民間に委ねられるものはできる限り委ねる」ことを基本理念とし、郵政3事業の民営化を決めた。当時の小泉純一郎首相が解散総選挙に勝利し、断行した政策だった。
手紙などをやりとりする郵便サービスは全国であまねく公平に使える「ユニバーサルサービス」の中核として守りながら、銀行と保険の2社は民営化後10年で国が持つ株式を手放し、完全民営化することが定められた。民間との対等な競争を重視しつつ、経営効率を高める狙いがあった。
日本郵政グループは07年10月、4社が持ち株会社に連なる形でスタート。手紙や荷物を運び届ける郵便事業会社、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険、それらの窓口となる郵便局会社だ。
ところが、民営化の動きは「政治の力」によって止められ、変質していく。
ポイント
20年前に成立した郵政民営化法の道筋は政治の力で止められ、大きく変質してきた。郵便局長組織の要望を受け、窓口維持のために年約650億円の支援を自民党が検討。赤字を埋めるだけの発想では必要な改革が進まず、支援額がふくらむ恐れがある。
09年発足の民主党政権は…