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東京23区内で住宅地の地価上昇率が最も高かった中央区。高層マンションが立ち並ぶ=2024年6月19日午後1時24分、東京都中央区

 東京都は17日、土地取引の指標となる基準地価(7月1日時点)を公表した。都内全域の平均変動率は前年比6・0%プラスで、12年連続の上昇となった。上昇率は前年を上回る傾向にあるほか、とくに都心部の上昇が際立っており、都の担当者は「ポストコロナへの移行とインバウンド(訪日外国人客)の回復で、都心回帰が続いている」としている。

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 都は都内1288地点を調査し、地価を毎年公表している。今年、前年比で上昇したのは1205地点で、昨年(1185地点)を上回った。下落地点は昨年は23地点だったが、今年は16地点。全体の上昇率は、区部で8・2%、多摩地区で3・3%だった。

 住宅地は都内全域で4・6%(前年3・0%)の上昇。区部の上昇率は6・7%(同4・2%)で、最も高かったのは中央区の12・4%だった。臨海部の高層マンションが立ち並ぶ地点の高い上昇率が目立ち、都財務局は「バス高速輸送システム(BRT)やシェアサイクルなどの交通手段が整備され、大規模商業施設が開業したことなどで注目が高まった」と説明する。

 多摩地区の住宅地は3・0%(同2・1%)の上昇。都心への交通利便性が高い中央線や京王線沿線のエリアが上昇を支えた。自治体別では国立市が6・2%で最も高かった。一方で、主に駅から離れた丘陵地では下落した地点もあった。

 商業地は都内全域で8・4%(同4・5%)上昇した。区部は9・7%で、最も高かったのは渋谷区の13・1%。渋谷駅周辺の再開発によりオフィスビルへの入居が相次いだほか、国内外の観光客の増加で飲食や美容、ホテルの需要が高いことが要因とみられる。

 これに続く台東区は12.5%の上昇。インバウンドを含む観光需要の回復が反映され、上昇率が高かった区部の上位10地点のうち4地点を浅草周辺が占めた。学校が集まり、交通利便性も高い文京区は11.7%上昇し、区全体で中高層マンションの建設用地として需要が高まっている。

 多摩地区の商業地は4・4%の上昇で、最も高かったのが立川市の7・8%。府中市と国分寺市が7・3%と続いた。都心部へのアクセスが良い主要駅前の再開発で商業施設ができ、人の流れが増えている。

 全体の傾向として、コロナ禍ではオフィスが集積する地点で下落していたが、オフィス需要が回復。「交通利便性の高いエリアが住居に選ばれている」(都財務局)という。

住宅地・商業地、上昇率が大きかったのは

【23区住宅地】…

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