あすを探る 砂原庸介さん
7月上旬に投開票された東京都知事選挙では、想定以上の立候補やそれに伴う選挙ポスター掲示場の枠不足、そして貼られたポスターやNHKの政見放送での人々の関心を集めようとする過激さが物議を醸した。現職候補が公務を優先するとして、都民への露出が「控えめ」であったこともあり、期待された政策論争よりも、場外乱闘のようなやり取りが目立つ選挙であった。
6人の論壇委員が交代で執筆するコラム「あすを探る」。今月の筆者は政治・地方自治担当の砂原庸介・神戸大学教授です。
そこでなされる「政策論争がない」という批判はもはや定番だが、候補者も有権者も、政策に関心がないというわけではない。今回の都知事選に限らず、たとえ注目されていない候補者でも何らかの政策に対する熱い思いを持っていることがほとんどだ。候補者たちのことをよく知れば、その中に自分の考え方を一番代弁してくれる政治家がいるかもしれない。そして、そう考えて選挙公報を読むことに挑戦する有権者も少なくないだろう。
そんな有権者にとって、候補…