【連載】高校思い出クリック~青春群像記~
高校をシリーズで紹介する企画。今回は東京都立園芸高校の1回目です。
東京都立園芸高校は1908年、日本初の園芸学校として創立した。卒業生は学校生活で何を学び、どんな進路を切り開いてきたのか。皇居の広大な庭園を手入れする宮内庁庭園課の菅野祐司さん(45)と、漬物製造業「やまう」(東京都目黒区)社長の梅沢綱祐さん(43)に聞いた。
皇居の庭園守る菅野さん 庭造り突き詰め、宮内庁に就職
両親から「手に職を」と、専門高校を勧められました。自宅の周りはビルばかりでしたが、父の実家が福島県伊達市の田畑に囲まれた環境で、いいなと思っていました。せっかくなら自然の中に思い切りつかりたい、と園芸高校を選びました。
造園デザイン科(動物科新設に伴い、2006年廃科)では、庭の設計にのめり込みました。
スケッチが得意だったので図面作製には苦労しませんでしたが、実際の庭造りでは思った通りに石畳が水平にならず、難しかった。3年生の放課後は、友だちと一つの庭をめぐって、日が暮れて手元が見えなくなるまで議論したなぁ。造園って、つまるところ感性なので、答えがない。それもだいごみですね。
いよいよ卒業が迫り、進路を決める時がきました。学校の近くの植木屋さんから誘いを受けていましたが、決めかねていました。
そんなとき、教頭先生から「宮内庁を受けてみないか」と。初めて皇居に足を踏み入れたのは小学生のとき。両親に連れられて行った新年一般参賀でしたが、庭園のことは特に気にしていませんでした。でも、面接を受けるため再び訪れた皇居の庭園は、手入れが行き届いて洗練されていました。ここだ、と思いましたね。
今は皇居の西側地区を担当し…