【連載】高校思い出クリック~青春群像記~

高校をシリーズで紹介する企画。今回は東京都立園芸高校の3回目です。

 東京都立園芸高では、専門高校ならではの設備や教材を生かそうと、独自の「学校設定科目」を多数設けている。その一つが、全国でも珍しい、盆栽を学ぶ授業だ。

徳川家光が愛した五葉松 盆栽の授業で活用

 同校などによると、学校設定科目は3年間で20単位まで認定でき、園芸科では11単位が用意されている。

2年生の専門科目「造園と盆栽」の授業で、松を鉢に植え替える生徒=2025年1月15日午後1時31分、東京都世田谷区深沢5丁目、武田遼撮影

 「たぶんこの幹が伸びるから、針金をかけて下に向けよう」。1月中旬、「造園と盆栽」の授業で、園芸科2年生の15人が、三河黒松の苗木を鉢に植え替える方法を学んでいた。苗と根の張り具合を見て、最適な鉢を選ぶ。どこを「正面」とするか見極め、割り箸を使って慎重に、根の隙間にも土を入れていった。

 「中学生の時に桜の盆栽を見て、いつか手入れしてみたいと思っていた」という松本颯馬(そうま)さんは、懸崖(けんがい)作りになるよう仕立てた。「成長した姿をイメージするのが難しい」

2年生の専門科目「造園と盆栽」の授業で松を鉢に植え替える生徒=2025年1月15日午後1時半、東京都世田谷区深沢5丁目、武田遼撮影

 同校には、江戸幕府の3代将軍・徳川家光が愛したとされる、推定樹齢500年超の五葉松の盆栽がある。同校にある2鉢、皇居にある1鉢しか現存しない希少な盆栽で、日本盆栽協会から「貴重盆栽」に認定され、同校では「三代さん」の名で愛されている。

「数億円の価値がある」松の植え替え

 家光が江戸城内で育てた五葉…

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