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【連載】高校思い出クリック~青春群像記~

高校をシリーズで紹介する企画。今回は東京都立園芸高校の2回目です。

 日本初の園芸高校として創立した都立園芸高校では、授業以外にも、多様な学びの機会がある。3年生の2人に、いま打ち込んでいることについて聞いた。

ハトのカルテ作り「飼育の質、保ちたい」

 座光寺(ざこうじ)梨奈さん(3年)は毎朝、エサや水替えなどインコ4羽の世話をしてから登校する。鳥や犬、メダカなど、多くの生き物に囲まれて育った。動物病院に連れて行くことも多く、動物をケアする看護師になろうと、都内の高校で唯一、動物科がある園芸高校の門をたたいた。

 入学前に「これだけは」と決めていたことがあった。校内で1~2位の人気を誇る部活動「ハト部」への入部だ。

 ハト部は15年前、近隣の中学校で当時の校長が趣味で飼育していたレースバト(伝書バト)を譲り受け、同好会として発足した。座光寺さんはいま、副部長を務める。放課後は、38羽のハトの世話や、空に放って帰巣本能や飛翔(ひしょう)能力を向上させる放鳩(ほうきゅう)訓練にいそしむ。行事でハトを放し、空で円を描きながら巣に戻る様子を楽しんでくれる人たちの姿を見ると、やりがいを感じるという。

写真・図版
グラウンドで放鳩するハト部の部員たち。ハトは自分で小屋に戻る=2025年1月15日午後4時9分、東京都世田谷区深沢5丁目、武田遼撮影

 ただ、飼育環境には課題があった。初代のハト小屋は木製で老朽化が激しく、今月、部員らで建て直した。ハトは景色で巣を覚える習性があるといい、「新居」に戻るためには再トレーニングが必要だ。

 加えて、代々受け継がれてき…

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