記録的な大雨に見舞われた山形県酒田市で、特産の刈屋梨の畑が川の増水により水没し、木や実が傷つく被害を受けた。今月下旬から収穫が始まるが、収量は例年を下回る見通しで、農家には不安が広がる。
刈屋梨は明治時代から作られ、日向川と荒瀬川の合流地点付近の川沿いに梨畑が広がる。度重なる川の氾濫(はんらん)が肥沃(ひよく)な土地をもたらし、おいしい梨ができるという。
JA庄内みどり刈屋梨出荷組合の佐藤尚人組合長によると、川近くの梨畑は何年かに一度は冠水してきた。だが今年ほどひどいのは初めてだという。
三浦悠さん(44)の梨畑は、1.5ヘクタールのうち川に近い3分の1が、7月25日に地上2メートル近くまで濁流にのまれた。一部の木は流され、収穫を待つ実のなる棚まで水につかった。水が引いた後は畑に厚さ数十センチ~1メートルの泥がたまり、流れ着いた流木やごみも散乱する。
三浦さんは「傷ついた木もあり、収穫がどうなるか予想がつかない」と話す。まずは被災が少なかった畑の実を収穫し、その後に重機も使いながら復旧を進めるという。「これほどのごみをどう撤去したらいいのかわからない」と途方に暮れていた。
JA庄内みどりによると、刈屋梨の栽培面積約40ヘクタールのうち、2割以上が大雨で被災した。今のところ、JAを通じた出荷量は例年の2割減の見通しという。(清水康志)