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スーパー酪農家・安達真子さん(41)

 「日本で高コストな酪農を続ける必要があるのか!」――。農林水産省の畜産企画課で勤務時に、心ない言葉をかけられた。「現場で働いて発信しないと農業への理解は広まらない」と、付き合っていた牧場主の夫との結婚を決意した。

  • 北海道で一番熱い酪農家が語る 消費者や地域社会とつながる大切さ

 北海道の端の標津(しべつ)町。海岸からは国後島が望める。「☆HAPPY LAND☆安達牧場」は東京ドーム14個分の牧草地を使って乳牛165頭を飼育し、年間約1千トンの生乳(せいにゅう)を出荷。牛乳やバター、チーズ、ヨーグルトなどに加工されて食卓を支えている。

 円安で輸入物価が上昇しただけで、消費者はインフレに苦しむ。日本の食料自給率は38%。200%を超える北海道でも、海外飼料やエネルギー価格の高騰が生産者の経営にものしかかる。

 岩手県のコメ農家の三女。消費者との距離を縮めようと、愚直に「6次産業」化に取り組む父を見ながら育ち、大学で畜産を学んだ。独立行政法人・家畜改良センターへ就職。乳牛の品種改良に携わり、後に農水省へ転籍。一貫して酪農畑で政策立案の一端を担った。

 結婚後は、消費者と生産者をつなぐ食農教育に熱心な夫と、学校への出前授業、修学旅行の受け入れ、最近は酪農家民宿も始めた。牛は走ると速いのだという。夫婦二人三脚、「牛歩で爆走中」。牧場のモットーは「育て、育てられ、つなぐ一杯」。目標は、酪農で世界をHAPPYに!文・写真 松田昌也

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