【動画】真夏の避難所、被災者の健康守るには 大阪府の小学校体育館で1泊2日の運営訓練=近藤咲子撮影

消灯後の体育館。少しでも涼しく過ごそうと、半袖や短パンで横になる参加者が多かった=2024年7月27日午後11時2分、大阪府八尾市、近藤咲子撮影

 夏に大規模災害が起きた際、避難所に身を寄せた住民の命をどう守るのか――。自治体の災害担当職員らが体育館に宿泊して避難所を運営する訓練を行った。酷暑の避難所で熱中症を防ぐ難しさが浮かび上がった。

 大阪府内で7月27~28日に行われた訓練には、大阪府と八尾市、東大阪市など府内6市町の防災担当職員ら約20人と日本赤十字社の医師、大学教授ら約60人が参加。うち約40人は宿泊もした。

真夏に大規模災害が起きたら、体育館などの避難所では何が必要になるのか。どう備えれば、熱中症などの二次健康被害を防げるか。自治体職員らが1泊2日の訓練を通して考えました。記事後半には熱中症対策の専門家のコメントも紹介します。

 主催したのは、災害医療の専門家らでつくる「避難所・避難生活学会」。これまで、冬の避難所の過酷さを想定した訓練は北海道北見市の大学で行われてきたが、夏の訓練は今回が初めて。酷暑が予想される体育館での避難生活で、熱中症などの健康被害を防ぐ具体策を探るのが目的だ。各自治体が備蓄品の有効性を検証する狙いもあった。

 会場は八尾市の安中(やすなか)小学校の体育館。市の指定避難所の一つだ。

 この日の八尾市の最高気温は35・4度。体育館の「暑さ指数計」は午後5時6分、31・7を記録し、国も採用するガイドラインで「運動は原則中止」とされる31を超えた。

 停電は起きていないという設定で訓練は行われた。体育館には空調設備がなく、スポットクーラー(冷風機)と扇風機が4台ずつ設置された。それでも館内に暑さがこもり、どんなに水を飲んでものどが渇く状態で、参加者からは「命の危険を感じる」との声も出た。

 2日目の午前5時には暑さ指…

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