試合形式の練習で右翼フェンスに当って跳ね返ってきた打球を処理する敦賀気比の西口友翔。本職は二塁だが、右翼の守備についていた=2024年4月5日、奈良県、大坂尚子撮影
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 今夏に台湾で開催される野球のU18(18歳以下)アジア選手権に向けた高校日本代表候補強化合宿は5日、第2日が奈良県内のグラウンドであり、選手33人が試合形式の練習を行った。

 7イニング制で、2試合を実施した。

 今春の選抜大会決勝に進んだ報徳学園の今朝丸裕喜、間木歩の両右腕を除いた投手14人が、アウトを六つ取るまで打者と対戦。選抜大会で2完投した阿南光の吉岡暖は4三振を奪うなど、打者6人を完璧に抑えた。

 打者では、決勝で勝ち越し適時打を放った健大高崎の高山裕次郎が6打数4安打と好調を維持。箱山遥人(健大高崎)、正林輝大(神村学園)には本塁打が出るなど、木製バットへの対応力を見せた。

 本職ではないポジションにつき、そつのない守備を見せた選手も多かった。

 敦賀気比の西口友翔(ゆうと)は1試合目は本職の二塁を守り、2試合目は右翼の守備についた。

 外野の経験は「中学1年の時に、大会で少しレフトを守った」だけ。他の外野手と密に会話して守備位置を把握。右翼フェンスにぶつかったクッションボールも危なげなく処理した。

 「外野グラブは大きいから、チャージも思い切っていける。自分は強打者のタイプではないし、代表に入ったら守備で貢献したい」と西口。

 健大高崎の二塁手・高山も1イニング限定で中堅の守備に入り、飛球を難なく捕球した。昨秋に中堅手を経験したといい「ケガを含めて何があるかわからないし、色々守れた方がいいと思う」。

 昨秋まで外野手との二刀流だった京都国際のエース中崎琉生も1回限定で中堅へ。「センターもできなくはない」と話した。

 アジア選手権のメンバーは18人と少なく、複数ポジションを守れる選手は重要となる。「球数制限もあって、投手の頭数が必要になる。その分、野手は複数の守備ができる選手を見つけないといけない」と小倉全由監督は話す。

 投手と野手を兼ねる選手の重要性も増す。

 この合宿でも、昨夏の甲子園で外野手として活躍した英明の百々愛輝(どどあいき)や、今春の選抜大会で4強入りした中央学院の遊撃手・颯佐(さっさ)心汰と、普段は野手登録ながら投手もこなす選手が参加している。この日の実戦も普段と同じように二刀流で臨んだ。

 小倉監督も「投手も野手もやってくれて、打線でも戦力になってくれる選手がいたら助かる。夏まで、もっと見ていかないといけないんじゃないか」と期待を寄せた。(大坂尚子)

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