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手作りのストラックアウトは、イベントで大人気だそう=2025年6月18日午後6時33分、和歌山市六十谷、平井茂雄撮影
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斎藤佑樹コラム

 野球人口は減少しています。日本高校野球連盟によると、全国の硬式野球部員は2014年度の約17万人をピークに減少傾向で、今夏は約12万5千人が全国で熱戦を繰り広げています。そんな中、高校球児が野球の普及活動に活躍していると聞き、6月に市和歌山を訪ねました。

 18年から続いているのが、小学生らを対象にした「ちびっこやきゅうチャレンジ」。和歌山県高野連の監督部会が中心となって立ち上げた野球教室です。

 同年に夏の全国高校野球選手権大会が第100回を数えたのを機に、日本高野連、朝日新聞社、毎日新聞社が次の100年に向け様々な活動を展開する「高校野球200年構想事業」の一環。イベントでは、ボールを的に投げる「ストラックアウト」やティーバッティングなどが体験できます。県内各校の高校球児たちが子どもたちをサポート。キャッチボールの相手になるなどして、野球の楽しさを伝えます。

 旗振り役となった市和歌山の半田真一監督(45)は「監督仲間もずっと危機感を持っていた。バットやボールなどの道具や参加者募集などゼロから作り上げた」。ストラックアウトは和歌山工の生徒がつくり、イベントのポスターは市和歌山デザイン表現科の生徒に依頼するなど手作りで運営。少年野球の監督に連絡して参加者を募るなどしてきました。年に数回開かれ、100人以上が参加する人気のイベントです。

 津本峰月(みづき)、丹羽涼介の両選手(いずれも2年)は小学3年でイベントに参加しました。「憧れの高校球児に会えて、かっこいい高校球児になりたいと思った」と話します。「参加した子どもたちが、甲子園を目指して野球を続けてくれるというのはうれしい」と半田監督。

 今春の選抜大会では、川辺謙信主将(3年)が、同じ思いを選手宣誓に込めました。「高校野球は好きですか?」と問いかけ、「私たちは高校野球が大好きです。先輩方が紡いできた歴史と伝統あるこの大好きな高校野球を、さらに魅力あるものに発展させ、未来の高校球児へとつないでいく責任があります」と続けました。

 川辺主将は「自分たちが楽しいと思わないと、子どもたちに伝わらない。野球の楽しさを教えたい」。

 一方で、イベントの人気は高いものの、少年野球への加入には必ずしもつながっていないことが課題だそうです。半田監督は「一人でも多く、野球をやりたい、という子どもを増やしていければ」と話します。

 野球の未来を思う球児たちと接し、僕も一緒に頑張らねば、と思いを新たにしました。

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