7年ぶりに単独で鳥取大会に臨む日野高野球部=2025年7月4日午後3時20分、鳥取県日野町根雨、奥平真也撮影

 12日に開幕する第107回全国高校野球選手権鳥取大会(鳥取県高校野球連盟、朝日新聞社主催)に、日野が2018年以来7年ぶりに単独出場する。監督と主将が懸命に部員を集め、初心者や助っ人も含め11人をそろえた。

 同校で4日、部活動の壮行会が開かれた。他部とともに野球部も参加。今村恒介校長は「2年生7人、1年間よく頑張った。1年生2人、入部してくれてありがとう。助っ人2人もありがとう」「旋風を巻き起こして欲しい」と激励した。

 日野は全校生徒約80人、山あいの日野町にある県立高校だ。旧日野産業高と旧根雨高が合併して00年に誕生した。ここ数年、野球部は部員不足に悩み、19年以降、夏の鳥取大会は他校との連合チームで出場。昨年は連合を組む相手が見つからず不出場だった。

 堀内瑶太(ようた)主将(2年)は昨春、東京都青梅市から地域みらい留学制度を使って入学。学校見学などもして雰囲気が気に入ったという。だが、野球部には上級生が1人もおらず、新入生4人だけという状態だった。

 堀内主将の父親は元高校球児で、甲子園の土を踏んでいる。その影響で小、中とずっと野球を続けてきた。「野球が好きという気持ちは誰にも負けたくなかった」。柳原大貴監督(31)とともに、「野球やらないか」と校内で勧誘を続けた。未経験者も入部し、その年の6月には部員7人に。だが、あと2人を集められなかった。

 それでも7人は黙々と練習を続けた。そして今春、1年生2人が入部しついに9人に。だが9人だけでは、けがや病気で1人でも欠けると出場出来なくなる。さらに部員集めに奮闘し、他部から助っ人2人を集め11人となった。

 半数以上が高校まで野球未経験者、あるいは助っ人という陣容。最初はキャッチボールも出来ない選手も多かったが、少しずつゴロが捕れるように、バットにボールが当たるようになっていった。

 二塁手の湯原陸斗選手(2年)は中学時代は水泳部。中3の時に広島カープの試合を見て秋山翔吾選手のプレーに感動し、入部を決意した。だが、1年生の時は公式試合なし。「来年がある」と、ひたすら練習に励んだ。

 バドミントンと兼部で外野手の中村泉椰(いずや)選手(2年)は、「高校生のうちに出来ることは何でもしたい」と、今年5月から野球を始めたばかり。「バットにボールが当たるようになるとすごくうれしい。チームもめっちゃ明るくて。楽しいです」と笑顔だ。

 柳原監督は「甲子園だけが野球じゃない。勝つのももちろん大事だが、精神面でも技術でも、選手が成長するのを見ていると、スポーツ本来の楽しさを感じます」。堀内主将は「チームメートには感謝しています。入ってくれてありがとう」と語る。初戦は大会第3日、米子西と対戦する。

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