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不二サッシが下請け業者に無償で保管させていた金型=公正取引委員会提供

 アルミサッシ製造大手「不二サッシ」(川崎市)が、部品の製造に使う金型などを下請け業者に無償で保管させたとして、公正取引委員会は24日、同社の下請法違反(不当な経済上の利益の提供要請)を認定し、保管費用の支払いや再発防止を求めて勧告した。同様の勧告は2023年3月以降で20件目。

 公取委の発表によると、不二サッシは遅くとも23年12月以降、部品製造に使う計7789の金型や木型などを製造委託した下請け業者46社に無償で保管させていた。いずれも新たな発注の見込みがない状況だったという。

 金型の多くは重さ20~30キロ。最も重いものは約420キロで、幅30センチ、奥行き60センチ、高さ40センチほどだったという。1976年から無償で保管させられ、一度しか発注がなかったものもあった。下請け業者は、こうした金型を倉庫などで無償で保管していたという。

 同社の担当者は取材に「保管費用を支払わなければならないという認識はあったが、不要になった金型などを業者に売った代金で充当できると認識していた。(下請け業者から)保管費用の支払いを求められたこともなかった」などと説明した。

委託した部品、検品せずに返品も

 公取委はまた、同社が23年12月以降、下請け業者20社に対し、製造委託したサッシ部品などを検品せずに「傷がある」などとして返品したとして、下請法違反(返品の禁止)も認定した。

 下請法は、納品された製品を品質検査をせずに返品することを禁じている。公取委は、下請けに負担させた送料を含め、返品の代金相当額の約421万円分を支払うことも勧告した。

 同社の担当者は「品質検査は下請けに委任し、見積書に検査の費用も含まれていると認識していた」と説明した。公取委によると、委任されたと認識している下請け業者は確認されなかったという。

 同社の担当者は「勧告を厳粛に受けとめ、コンプライアンスの一層の強化と再発防止に努める」などと話した。

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