金杉憲治・駐中国大使は11日、直轄市である天津市のトップ陳敏爾(チェンミンアル)書記と会見した。陳氏は習近平(シーチンピン)国家主席が浙江省トップを務めた時代からの腹心とも言われる。共産党トップ24人の政治局員の一人で、金杉氏が昨年12月の着任後に会見した党や政府関係者の中では最高位。日中間の人的交流の拡大などについて意見を交わした。
陳氏は、過去の党大会では最高指導部入りも取りざたされた。会見で、「中日両国間の協力関係の発展は両国民の関心事だ。両国の平和で友好的な協力と発展は、アジアや世界が手本にする意義がある」と述べ、地方レベルでも日中の人的交流を推し進める意向を示した。金杉氏も「人の交流は日中関係に不可欠だ」と応じ、ビザ免除の再開を求めた。
金杉氏は中国での邦人拘束への懸念も示した。在中国日本大使館によると、陳氏は直接回答はしなかったものの、外国人の安全とよりよいビジネス環境の提供を重視していることなどを強調したという。
東京電力福島第一原発の処理水の問題については、話題にのぼらなかったという。(天津=井上亮)