韓国・国民大のアンドレイ・ランコフ教授
第1次政権時代のトランプ米大統領と進めた非核化交渉が頓挫後、核・ミサイル開発に突き進む北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)総書記。昨年以降、関係を強化してきたロシアを後ろ盾に米国との対決姿勢を強めています。トランプ氏の返り咲きは、北朝鮮情勢やウクライナ侵攻にどのような影響を与えるのでしょうか。ロシア出身で金日成総合大学に留学した経験のある、韓国・国民大のアンドレイ・ランコフ教授に聞きました。
――トランプ氏は2019年2月、ハノイで金正恩総書記と会談しましたが、北朝鮮の非核化措置と、その見返りとなる米国の制裁解除という重要な点で一致せず、決裂しました。
ハノイでかなわなかった北朝鮮との合意を再び試みるでしょう。トランプ氏にとってはメリットがあります。核施設の大部分の破棄といった合意が実現すれば、韓国に対して在韓米軍の駐留経費負担の大幅な増額を要求できる。韓国が受け入れなければ在韓米軍の撤退まで試みることもできる。
ただ、実際には撤退までは至らないと予想しています。米国の専門家の間では、中国と対峙(たいじ)するうえで、在韓米軍が価値の高い戦略的な「資産」だとする考え方がある。トランプ氏も(在韓米軍の駐留経費は)「無駄な負担」という考え方から、中国を抑制するための「必要悪」という考えに変わる可能性もあるからです。
――北朝鮮はトランプ氏との交渉を望むでしょうか。
第1回の米朝首脳会談があっ…